クリニック人事労務トラブル・事例8

開業する際もしくは、開業後しばらくしてから、従業員の健康保険の加入について悩むことがあると思います。

クリニックの場合は、医師国民健康保険組合(以下「医師国保」)と全国健康保険協会の健康保険(以下「協会けんぽ」)のいずれかで悩むことが多いようです。

医師国保については都道府県によっても違いがありますが、主に医師国保と協会けんぽのでは以下の点が異なります。

①出産手当金、傷病手当金について

出産手当金は、会社から給与の支給がされない産前産後休業中について、給与の補償がされる制度です。

医師国保は出産手当金の制度はありませんが、協会けんぽは出産手当金の制度があります。

傷病手当金は、業務以外でケガや病気をされて会社を休んだ場合の給与の補償がされる制度です。

医師国保の場合は、都道府県によって取り扱いが異なります(東京都は原則として傷病手当金はなし)。

協会けんぽの場合は、傷病手当金の制度があります。

②保険料免除について

協会けんぽの場合は、産前産後休業中や育児休業中の保険料負担が免除されます。

医師国保の場合は、産前産後休業中や育児休業中の保険料は免除されませんので、休業期間中も保険料は支払う必要があります。

③保険料について

協会けんぽの保険料は収入に応じた保険料となっており(収入が多いほど保険料が高くなる)、医師国保の保険料は定額負担となっています。

また、賞与支給について、医師国保は保険料負担はありませんが、協会けんぽの場合は約10%の保険料がかかります(本人5%負担、事業主5%負担)。

保険料負担についてですが、医師国保は従業員のみが保険料を負担しますが、協会けんぽの場合は従業員と事業主が折半して保険料を負担します。

④扶養家族の保険料について

医師国保の場合は、原則として同一世帯の家族全員に対して保険料が発生します(会社の健康保険に加入している家族は医師国保に加入しません。)。

協会けんぽの場合は、要件を満たす被扶養者に対しては、保険料は発生せず、被保険者のみの保険料負担となります。

⑤資格取得の際の手続きについて

医師国保の場合は、従業員の入退社の際の手続きが煩雑です。

また、保険証の発行までに3~4週間程度かかることが多いです。

協会けんぽの入退社の手続きは、医師国保に比べると簡便で、2週間程度で保険証が発行されることが多いです。

⑥自家診療の保険請求について

医師国保は自家診療の保険請求はできませんが、協会けんぽの場合ば自家診療の保険請求が可能です。

以上のような違いが医師国保と協会けんぽにはあります。

選択される際の参考にしていただいければと思います。